OptiMax HFCalヒートフロー反応熱量計やRC1mx反応熱量計などの反応熱量計を使用した検討により、スケールアップやプロセスの安全性確認に必要な詳細情報が提供されます。RC1は反応熱量計の「Gold Standard」です。
安全性の評価は、本質的に開発の初期段階で実施されるタスクです。安全なプロセスを開発する際に問題となる課題は、化学プロセスの開発時に確認する事で対応することができます。EasyMaxパーソナル有機合成装置やEasyMax HFCalヒートフロー反応熱量計などの使いやすいツールが提供する情報によって、スケールアップに適さない条件でのリスクを開発の初期段階で特定し、リスクを最小限に抑えることができます。
初期段階でのスケールアップ検討によって開発の生産性が向上し、貴重な原材料の消費を少量に抑えることができ、廃棄物の量を大幅に削減し、開発の継続/中止の判断を行うために不可欠な情報を得ることができます。

反応熱量計
スケールアップ時の安全なプロセスの効率的な開発

反応熱量測定の有用性
実験室スケールからプラントスケールへ反応をスケールアップすると、さまざまな理由からスケールアップに関する問題が突然発生します。多くの場合、発熱事故の原因は次のようなものです。
- プロセス熱化学に関する理解が不足していること
- 熱を除去できないこと
- 撹拌挙動の理解が間違っている、または不十分なこと
- 人為的要因
事故は、必要なデータを研究室スケールで測定することにより回避できます。 研究室での評価は、反応熱量計を使用してプロセスに類似した条件で評価されるため、その結果をスケールアップ後の反応として評価することができます。
反応熱量測定はプロセスに関する詳細な情報を提供するため、必要な手順を繰り返し、確実に、必要な品質標準で実行できます。

プロセスの安全性ガイド
リスクの把握 – スケールアップ時の安全な化学プロセス
製造プロセスを開発する際には、プロセスに関する情報や、原材料、中間体、最終生成物の毒性と安定性に関する情報が重要になります。科学者は、適切な反応手順を確立し、プロセス自体を深く理解するためにこのデータを使用します。プロセスの安全性ガイドでは、安全を確保するために考慮すべき主要な課題について説明します。
スケールアップの可能性に関する問題のスクリーニング
新しい化成品または医薬品の市場投入に成功するためには、効果的な開発ワークフローをサポートする革新的なアイデア、創造的な研究者、最新の合成ツールが必要です。
試薬が少ないため実験は小スケールで行われますが、得られるデータは高精度のものでなければなりません。実験計画法などの統計的アプローチにデータを適用することが不可欠ですが、従来の手順に基づく実験も、開発の初期段階でスケールアップの可能性を確認し、潜在的な安全性の問題を特定できます。この結果、化学プロセス開発の生産性を向上できるだけではなく、スケールアップ時にそのプロセスを安全に経済的に実行できることを確認できます。
包括的なプロセスの安全性確認
化学/医薬品業界では、大量の発熱を伴う複雑な化学プロセスを適用することが頻繁にあります。潜在的なリスクを把握し、理解することは、化成品や医薬品の安全な製造にとって非常に重要な前提条件です。ここには、希望する反応の熱力学に加えて、考えられる様々な反応の熱力学を理解することも含まれます。
RC1mx反応熱量計を使用すると、主反応に関連する安全パラメータを確実に測定するためのデータを取得できます。iC Safetyは実験データを安全情報に変換し、これを不要な反応のデータと組み合わせて、簡潔でわかりやすい形式(表形式、暴走/重大性グラフなど)で熱リスク(未反応の蓄積量、断熱温度上昇、MTSRなど)を表します。

プロセスを安全で経済的な製造に移行
スクリーニング、プロセス開発、プロセスの安全性確認のためのツール

EasyMax HFCalとOptiMax HFCal(ヒートフロー反応熱量計)は、有機合成装置と反応熱量計の利点を兼ね備えています。小規模スケールアップの反応熱量計はプロセスの安全性スクリーニングを目的に設計されており、開発プロセスの早い段階で反応に関する情報を提供します。
ヒートフロー反応熱量測定データを使用することで管理された正確で高い再現性を持つプロセスパラメータを評価し、最適化と理解をすることができます。

RC1反応熱量計は、プロセスに類似した条件下で発熱挙動、反応率、ヒートトランスファーを測定する業界の「Gold Standard」です。RC1mx反応熱量計は、高性能な温調機構を中心に据えた最新のソリューションを提供します。RC1mxを使用することで、反応/安全性を担当する技術者は、安全な条件下でプロセスを最適化するとともに、すべての重要なプロセスパラメータを測定し、スケールアップ時のリスクを大幅に削減することができます。
モデル/仕様
サービス
サービスプログラムの紹介 - 様々なオプションに対応
メトラー・トレドは、設置から保守点検、校正、機器の修理まで、お客様の測定機器のライフサイクル全般にわたってサービスサポートを提供いたします。
関連文書
反応熱量測定の関連文書
データシート
関連製品とソリューション
アプリケーション
ソフトウエア
反応熱量測定
反応熱量測定とは
反応熱量測定は、プロセスに類似した条件下で化学反応または物理的プロセスから放出される熱を測定し、反応の熱化学や速度に関する基本情報を提供します。
反応熱に関する情報は、化学反応を研究室スケールからプラントスケールへ安全に移行するための条件の決定にきわめて重要です。化学プロセス開発ワークフローのほか、反応熱量測定によって個々のステップに必要な情報を得ることができ、その後、この情報は、プロセスのリスク、スケールアップの可能性、またプロセスのクリティカリティーを評価するための情報に変換されます。反応熱量測定は、ヒートトランスファーやマストランスファー、また撹拌に関連する問題の特定に役立ち、適切な温度、撹拌、または試薬添加による影響をオンラインで確認することができます。また、反応熱量測定は予期しない挙動を検出し、その他のスケールアップの可能性に関する問題を定量化します。
優れた熱量データを得るために重要なこと
高精度の温度管理機能を備え、すばやく応答する温調機構により、規定された反応経路を通って反応を確実に制御します。すばやく除熱できる高い冷却容量によって、激しい高速反応や大量の熱に対応します。高感度な温度計によって高精度の温度制御が確保され、すべての熱情報が正確に計算されます。計算アルゴリズムでは、測定データだけではなく、比熱、顕熱、添加による持ち込み熱などの物理的要因も考慮されます。統合された情報管理とレポート生成は、すべての実験情報の追跡を可能にします。
トータルヒートフローバランスの決定
実験を最大限に評価するには、ヒートフローのすべてを考慮する必要があります。
- ヒートフロー:リアクタの壁を通ったヒートフロー
- 顕熱:温度変化によって蓄積された熱
- 試薬添加による持ち込み熱:添加操作によって持ち込まれる熱
- キャリブレーションヒーターの熱:キャリブレーション操作時の熱
- 還流:コンデンサによって冷却される熱
- 撹拌熱:粘度または撹拌速度が変化するときの撹拌モーターによって加わるエネルギー
- 熱損失:リアクタの蓋を通じて失われる熱
ヒートフローの原理とその作用
メトラー・トレドのすべての反応熱量測定機で用いられるヒートフローの原理は、化学または物理プロセスによって放出される熱を測定する最もシンプルで堅牢なメソッドです。ほとんどの条件で適用でき、非常に感度が高く、優れた繰返し性を提供します。ヒートフローの原理は、キャリブレーションによってヒートフローに変換される熱の伝わりやすさ(リアクタ内容物とジャケットの温度差)に基づくものです。キャリブレーション操作は、少量のエネルギーをリアクタ内容物に加える電気ヒーターによって行われます。
ヒートフローの測定は、リアクタの壁の内外の温度差に基づいて行われ、リアクタの壁の熱伝導率と厚さ、リアクタ内容物の膜の熱抵抗、油膜の熱抵抗によって異なります。非等温操作では、エネルギーの一部がリアクタの壁に蓄熱されます。このため、リアクタの壁の見かけの熱容量を考慮しなければなりません。数学モデルを使用してリアクタの壁の温度分布を計算し、(仮の)ジャケット温度を導き出します。
正確な比熱データの重要性
系内温度が上昇/下降すると、系内にエネルギーが蓄熱/放熱されます。昇温時にはエネルギーが保存または蓄積され冷却時には再度放出されます。温度が上昇/冷却するのはリアクタ内容物だけではない点に注意してください。蓄熱の総量は、リアクタ内容物の量、温度差、リアクタ内容物の比熱によって異なります。このため、リアクタ内容物、挿入物、リアクタ壁の熱容量も考慮する必要があります。
反応熱量測定アプリケーション