ミクロ天秤は、微量サンプルを非常に高い精確さで計量するために使われる非常に高精度な機器です。メトラー・トレドのミクロ天秤はひょう量が最大52 g、最小表示が0.1 µgで、わずか30 µgのサンプル量を計量できます。ミクロ計量は一般的に、化学分析や元素分析、排ガス試験のほか、希少物質、貴重な物質、有毒物質、高効力物質を少量使用するアプリケーションで使用されています。
ミクロ天秤は、計量範囲がマイクログラムの微量サンプルの重量を測定するために使用される、非常に高精度の計量機器です。ミクロ天秤の最小表示は小数点以下6桁(1 µg)、ウルトラミクロ天秤の最小表示は小数点以下7桁(0.1 µg)です。ミクロ天秤やウルトラミクロ天秤の計量セルは非常に感度が高く、わずか30 µgの微量サンプルでも高い正確度で計量することができます。ミクロ天秤は、排ガス試験、フィルタ測定、化学分析、元素分析に広く使用されています。
XPRミクロ天秤を使用したサンプル調製のビデオをご覧ください。
分析天秤は、最小表示が小数点以下5桁または6桁の一部のものを除くと、小数点以下4桁(0.1 mg)の最小表示を備えている天秤と定義されています。ミクロ天秤は小数点以下6桁(1 µg)または7桁(0.1 µg)の最小表示を備えています。このミクロ天秤という名称は、マイクログラムの最小表示に由来します。一般的に、ミクロ天秤は優れた計量性能と低い最小計量値を備えているため、マイクログラム単位から数ミリグラムまでの微量なサンプルの計量に非常に適しています。計量性能を向上させるため、メトラー・トレドの天秤シリーズには、ミクロ分析型天秤、ミクロ天秤、ウルトラミクロ天秤の3種類のミクロ計量天秤があります。ミクロ分析型天秤は分析天秤の形をしていますが、第二の内部風防と小さな懸架式計量皿を備えています。メトラー・トレドのミクロ天秤とウルトラミクロ天秤は、異なる形状のハウジングと円筒形の風防を備えた保護設計です。以下の表に、メトラー・トレドの3種類のミクロ計量天秤をまとめます。
*小数点以下の桁数は測定値がグラム単位の場合
ミクロ天秤は、微量サンプルを高い精確さで計量する必要があるさまざまなアプリケーションで使用されています。ミクロ天秤は微量のサンプルでも測定できるため、貴重な物質、希少物質、高効力物質の計量に適しています。ミクロ天秤の使用は安全かつ経済的であり、貴重なサンプルを最大限に活用できます。ミクロ天秤は一般的に、製品試験や品質保証の研究室で使用されています。化学分野の研究室や鉱業の用途では、ミクロ天秤は少量の粉体や鉱物の計量に非常に適しています。一般的なミクロ天秤の計量アプリケーションには、粒子状物質の計量(フィルタ測定/排ガス試験)、農薬分析、ピペット校正、ステント計量などがあります。
ミクロ天秤による計量について詳しくは、アプリケーションライブラリページをご覧ください。
ミクロ天秤が動作している様子はこちら:
メトラー・トレドのXPRミクロ天秤には、人間工学的な操作性と最高の計量性能を提供するために、独自設計の機能が組み込まれています。
ミクロ天秤の電子部品と計量セルの分離
メトラー・トレドのXPRミクロ天秤は、機械的な高精度計量セルと電子部品が分離されるように巧みに設計されています。この分離により、不安定で不正確な計量結果につながる可能性のある、高感度の計量セルに影響を与える電子機器からの熱を防ぐことができます。さらに、メトラー・トレドのXPRミクロ天秤にはアクティブ温度コントロールシステム(ATC™)が組み込まれています。ATCは、計量チャンバー内部の温度が外部と同じ温度になるようにコントロールし、非常に安定した計量環境を提供します。安定時間の短縮、ドリフトの低減、卓越した精度といったメリットが得られます。
メインディスプレイと第2のディスプレイ
メトラー・トレドのXPRミクロ天秤のメインの操作ターミナルは、ミクロ天秤から離れた、最も便利な場所に設置できる柔軟性を備えています。たとえば、ミクロ計量はかりはドラフトチャンバーの内側や、ターミナルの外側に配置できます。計量チャンバーの真上に設置される第2のSmartViewターミナルは、サンプルの計量時に非常に便利です。SmartViewターミナルに組み込まれている基本的な天秤機能も、さらに便利で人間工学的な操作が可能になっています。
どこからでも見える丸型風防
XPRミクロ天秤/ウルトラミクロ天秤は、上からも含めてどこからでも見える円筒形のガラス製計量チャンバーを備えているため、小さくて繊細な、時には危険なサンプルを取り扱う際に最高の視認性を確保できます。さらに、風防ドアはいずれかのセンサの前で手を振るだけで自動操作できます。すべての部品は、工具を必要とせずにすばやく取り外し、洗浄、再組み立てができます。
コンパクトな設置面積
メトラー・トレドのXPRミクロ天秤は、市販のどのミクロ天秤よりも小さい面積で設置できます。使いやすい場所にメインの操作ターミナルを配置できる機能と相まって、貴重な作業スペースを最大限に生かし、スペースが限られているあらゆる安全キャビネットで非常に便利です。
ニーズに適したメトラー・トレドのミクロ天秤を見つけるには、まず計量に必要な最小量を評価し、次に計量に必要な正確さ(許容管理限界など)を評価する必要があります。その他の重要な考慮事項として、計量する最大量とプロセスのリスク(間違った計量結果による悪影響)があります。
天秤やミクロ天秤のすべての測定に不確かさが含まれていることに注意してください。この不確かさを理解することが、正確な結果を確保し、エラーを回避するための鍵となります。ミクロ天秤で少量サンプルを計量する場合、不確かさはほぼ完全に繰返し性によるものです(ミクロ天秤の計量範囲の下限)。計量機器の正確さの決め手になるのは、最小表示よりも繰返し性です。最小表示とは、ミクロ天秤で表示される最小の重量差です。ミクロ天秤で計量できる最小の量を天秤の最小計量値と呼びます。プロセスの管理限界との組み合わせで、最小計量値は測定の精度の限界であり、この値を下回ると不確かさが大きくなりすぎて信頼できる結果が得られません。
お客様固有のアプリケーションと精度要件に応じて適切な計量機器を選択するのに役立つ無料のGWP® Recommendationについては、メトラー・トレドのコンサルタントにお問い合わせください。
ミクロ天秤を設置する際には、ミクロ天秤の精度に影響を与える3つの主な外部影響を考慮する必要があります:
実験室内のミクロ天秤の設置場所による測定の不確かさの例:
ミクロ天秤を使用するときは、指紋や手の油分が結果に影響するため、常に手袋を着用してください。計量を開始するには、まず天秤のゼロ点調整を行います。風防ドアを開き、次にピンセットを使用して容器または計量ボートを計量皿に載せます。ドアを閉じ、値が安定するまで待ちます。ミクロ天秤の風袋引きを行います。サンプルを分注したらドアを閉じ、ミクロ天秤が安定するまで待ちます。ミクロ天秤は動きに非常に敏感なので、安定するまで作業台に触れないでください。正味重量を記録するか、目標の重量に達するまで分注手順を繰り返します。使用後は毎回ミクロ天秤、ツール、作業スペースを清掃してください。
ミクロ天秤を使用した一般的な計量プロセスをこのビデオで説明します。
ミクロ天秤は非常に敏感な機器です。環境からのわずかな外乱やユーザーの操作が測定の安定性に大きな影響を与える可能性があるため、振動の発生源となる可能性のあるものをすべて排除する必要があります。ミクロ天秤は、気流、埃、温度変化の影響を非常に受けやすいため、周囲温度と湿度が一定したレベルに保たれている場所に設置するのが最適です。特に、通気口、窓、ドアから離れた場所に設置する必要があります。
ミクロ天秤は、人の出入りが少なく、空気の対流がない頑丈な作業台に設置する必要があります。ミクロ天秤用に最適化された専用の計量台で使用するのが理想的です。
ミクロ天秤の電源を初めて入れたとき、または一定時間使用しなかった後で電源を入れたときには、温度を安定させるために少なくとも数時間のウォームアップ時間を確保することをお勧めします。
ミクロ天秤を使用する場合は、結果に悪影響を与える可能性がある、温度差によって生じる計量チャンバー内の対流を最小限に抑えてください。これを避けるには、必ずピンセットでサンプルを取り扱い、サンプル、容器、ツールは室温に慣らしてください。
ミクロ天秤を最大限に活用するためのヒントとコツについては、無料ガイド「ミクロ計量を成功へ導く10のステップ」をダウンロードしてご覧ください。
微生物や医薬品分野などの研究室や製造環境では、毒性の物質を処理することも珍しくなく、ユーザーの安全性に危険を及ぼします。純度を保ち、危険なクロスコンタミネーションを防ぐには、適切な個人用保護具の着用と計量した物質の適切な取り扱いが不可欠です。
このビデオでは、危険物質の安全な取り扱い方と、メトラー・トレドのミクロ天秤で安全な計量をサポートする方法を紹介します。
危険物質の計量時に安全性を確保する方法について詳しくは、ホワイトペーパーをダウンロードしてください。
クリーニング中は、ミクロ天秤の電源を切ってください。ミクロ天秤のドラフトシールドの内側に付着した無害なサンプルの粗洗浄は、ブラシとティッシュで行うことができます。ミクロ天秤の徹底的な洗浄には、ドリップトレイと計量皿を簡単に分解し、必要に応じて超音波水槽で洗浄することが可能です。洗剤や70%アルコール、イソプロパノールなどの適切な溶剤も使用できます。アセトンは、プラスチックを溶かしたり、ドラフトシールドの接着面を攻撃することがあるので、粘着性のある物質であっても、ミクロ天秤には使用しないでください。アセトンは、プラスチック製のハンドルやミクロバランスのターミナルスクリーンに近づけないでください。ミクロ天秤を使用するたびに、クリーニングすることをお勧めします。
ミクロバランスを正しくクリーニングするために、必ずリファレンスマニュアルのクリーニング方法を参照してください。
精度に関するニーズに完全に適合するようにカスタマイズされた校正サービスをご確認ください。XPRミクロ天秤は、内蔵のproFACT機能により、ミクロ天秤の内部点検用分銅を使用した自動調整を実行します。proFACT機能により、周囲温度が変化するとミクロ天秤が自動的に調整されるため、精確さが保たれます。
校正はミクロ天秤の性能評価です。ミクロ天秤は高精度なはかりであるため、ミクロ天秤の校正は認定を受けた校正サービスプロバイダーのみが実施する必要があります。校正プロセスには、通常、ミクロ天秤の最小計量値の評価と必要な調整が含まれます。さらに、校正証明書が発行されます。これはミクロ天秤が期待通りに機能することを保証するもので、トレーサビリティを証明するために必要なものです。
ユーザーによる日常点検は、校正の合間にも不可欠です。日常点検では、規格外の結果につながりかねない性能の変動を早期に発見できます。
メトラー・トレドは、Good Weighing Practice™(GWP®)と呼ばれる、計量機器の安全な選定、校正、操作のための科学的なグローバルスタンダードを開発しました。
メトラー・トレドのXPRミクロ天秤では、すべてのデータとプロセス情報が内蔵の記録用ノートパッドに自動的に保存されます。シンプルなケーブル接続により、結果をPCに直接転送できます。USBストレージデバイスを介した転送も可能です。包括的なデータ管理のために、LabX™研究室用ソフトウェアがすべての結果、メタデータ、計算を自動的に処理します。LabXでは、機器/タスク/ユーザーの一元管理やミクロ天秤ディスプレイへのSOPガイダンスの表示が可能で、データの完全性の確保、CFR 21 part 11への準拠をサポートします。
XPRミクロ天秤では、HID天秤機能(ドロップトゥカーソル)を使って、計量データをコンピュータプログラムに転送することができます(例:Excelスプレッドシートに直接転送)。次のビデオでは、USBケーブルを使用してマイクロ天秤をコンピュータに接続する方法と、ミクロ天秤のセットアップの方法を紹介しています: