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晶析装置の稼働時間の向上(日本語版)

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微粒子の自動制御

晶析装置の稼働時間の向上
晶析装置の稼働時間の向上


このアプリケーションノートでは、自動フィードバックループを使用し、活性成分(化合物A)を生成するように設計された難しい晶析プロセスを最適化する方法を解説します。研究段階の晶析プロセスは、異なる不純物プロファイルの原材料に左右されることがあります。スラリーの流動性が悪化すると、晶析装置を停止して手作業での分離精製が必要となり、停止に関連するコストやその後の洗浄にかかるコストは、容易にバッチ当たり500万円以上に達しかねません。この問題に対処するためセルフシーディング法を設計し、自発的に核形成した結晶を温度サイクルを通じてin situで精製しました。種晶が完全に溶解するのを防ぐため、不純物レベルと化合物の溶解度が頻繁に変化する困難なバッチ環境に単純なフィードバック制御ループを設定しました。セルフシーディング法を利用したスケールダウン実験では、制御された二次核形成と期待通りの結晶の成長が見られ、化合物Aの製造中に稼働時間の向上とコスト削減が可能であることを示しています。

目次

  1. はじめに
  2. 難易度の高い晶析プロセスの理解[プロセスA]
  3. 不純物レベルが変化する条件下でのセルフシーディング法の開発[プロセスB]
  4. 未知の不純物レベルでも最適な操作をするのための自動フィードバック制御[プロセスC]
  5. まとめ
  6. 付録(測定メソッド)

農薬業界では、製造効率を持続的に向上させる自動製造プロセスの開発にますます注目が集まっています。主な目標(仕様の範囲内の最終製品)は、最大のスループット、原材料の消費量の削減、堅牢で再現性のある方法を達成することです。プロセスに問題があると、ろ過性の低下、再晶析の必要性、長時間の洗浄、さらには工場の操業停止まで招くおそれがあり、望ましくない余分なコストが大きくのしかかることになりかねません。

晶析プロセスが円滑に働くには、結晶の大きさ、形、濃度が重要なパラメータとなります。したがって、プロセスの開発と最適化の際には常に晶析メカニズムを調べることが不可欠です。ところが、ほとんどの晶析プロセスでは行われていません。その代わり、プロセスの理解を得るのは、サンプリングやエンドポイントでのオフライン分析に基づいて行われています。サンプリングは難しかったり、不可能だったりすることが多く、オフラインで結果を得られたとしても、作業の間にすでに晶析の状態は進行するため、古い結果となってしまうこともあります。従来は、問題が発生した際、根本原因を理解せずに試行錯誤のアプローチで対処し、いいと思われるプロセスを特定しても、スケールアップの難しさに変わりはありませんでした。

開発時にプロセス理解の問題を解決するには、リアルタイム顕微鏡法(ParticleView™ V19)を適用することです。これによって、プロセス中に発生する粒子メカニズムの明確なin situプロセス画像をリアルタイムにえることができます。プロセスの最適化やスケールアップ中のより詳細な分析、堅牢なプラント操作のために、キャリブレーションフリーのインライン粒度計(ParticleTrack™G400 / G600)を使用し、最適なプロセスの特定とフィンガープリンティングを行うことができます。フィードバック制御ループを使用して、望まない粒子メカニズムに対するリアルタイムの自動反応が可能です。2つの装置のテクノロジーと測定原理については、付録に詳細な説明を記載しています。