自動分注による標準液調製 | メトラー・トレド

自動分注による標準液調製

なぜ高品質の標準溶液に正確な計量が不可欠なのでしょうか?

価格に関するお問い合わせ
標準液の調製 – 溶液、計算、一般的な問題の解決

Buffer Preparation

Buffer Preparation

標準液の調製 – 調合ワークフロー
  1. データベースからレシピを選択
  2. 必要な標準液の量に従ったレシピの量を再計算
  3. 容器に化合物を計量
  4. 化合物を適切な溶媒(通常は水)に溶解
  5. pHメータを使用したpH値の確認と調整
  6. 必要な量まで溶液を補充
  7. 保管用ボトルに移してラベルを貼る
  8. 結果の文書化

標準溶液の働きとは?

標準液は、少量の酸または塩基酸が加えられたときにpHの変化を抑える水溶液系で、弱酸とその共役塩基で構成されています。 標準液は、反応時に放出されるプロトンを吸収すること、または反応で消費されたプロトンを放出することで、溶液のpHを一定に保ちます。部分的に中和された弱酸や弱塩基の溶液で、少量の強酸や強塩基が加えられたときのpH変化を抑えることがわかり、これが「標準液」の概念につながりました。
 

共役塩基とはプロトンを失った酸のことです。
HA  ↔  H+ + A-
酸  ↔  プロトン + 共役塩基
 

共役酸とはプロトンを得た塩基のことです。
A + H+  ↔  H+A
塩基 + プロトン  ↔  共役酸
 

解離型と非解離型との間で均衡に達します。
たとえば、水中で部分的に解離した弱酢酸は酢酸イオンを生成します。
CH3COOH  ↔  H+ + CH3COO-
この溶液内では、解離していない酢酸、水素イオン、解離したイオンが均衡状態にあります。
 

酢酸ナトリウムも水中で解離し、同じ酢酸イオンを生成します。
CH3COONa  ↔  Na+ + CH3COO-
溶液内では、解離していない酢酸ナトリウム、ナトリウムイオン、酢酸イオンが均衡状態にあります。
 

このため、酸が添加された場合、酢酸と酢酸ナトリウムの混合水溶液は、水素イオンと酢酸塩基から酢酸を生成することでH+イオンを吸収することができます。 さらに、アルカリの添加によってOH-イオンをこの溶液に加えると、水素イオン(H+)と結合し、水を生成します。 このようにシステムが均衡を回復しようとするため、この溶液はpH値の変化を抑えることができます。 これが標準溶液の働きです。
 

標準液に酸を添加するとどうなりますか?

弱酸とその共役塩基の均衡状態にある混合液に強酸(H+が多いもの)を添加すると、ルシャトリエの原理に従って均衡は左へシフトします。
 

標準液に塩基を添加するとどうなりますか?

同様に、強塩基を混合液に添加すると、水素イオン濃度の低下の程度は、加えた塩基から予想されるものよりも小さくなります。 これは、塩との反応で失われるH+を補うために反応が右にシフトするからです。

Buffer Preparation Formula

標準溶液のタイプ

弱酸とその共役塩基で構成される標準溶液は酸性標準液と呼ばれ、pHは7未満です。 酢酸(弱酸)と酢酸ナトリウム(共役塩基)からなる標準液は酸性標準液で、pHは約4.75です。
弱塩基とその共役酸で構成される標準溶液はアルカリ性標準液と呼ばれ、pHは7よりも大きくなります。 アルカリ性標準液の例として、水酸化アンモニウム(弱塩基)と塩化アンモニウム(共役酸)の水溶液があります。このpHは9.25です。
 

標準溶液調製時の注意事項

標準溶液は、そのpHが対象のシステムまたは溶液のpHに近いときに最適に働きます。 ヒト生物学の酵素の研究では、血液のpH、つまり7.35~7.45に適合するシステムが必要です。これ以外のpHでは酵素は正しく機能しません。 緩衝系のpHが希望の範囲を外れると、分析にマイナスの影響も与えます。
 

したがって、特定のpHの標準溶液を調製できなければなりません。これは、以下のようないくつかの方法で行うことができます。

  • pHの調整
    最初に、標準溶液として最終的に必要な量の60~70%の量の水に酸または塩基の結晶を溶解します。 pHを確認し、調整します。 酸の結晶を使用する場合は、対象のシステムと干渉する可能性のあるイオンを生成しない塩基を使用してpHを調整します。 塩基の結晶を使用する場合は、適切な酸を使用してpHを調整します。 希望するpHになったら、標準溶液に水を加えて必要な量にすることができます。

  • 酸/塩基の溶液の混合
    この方法では、酸または塩基の溶液を関連する塩溶液と混合します。 原液の濃度は必要な標準溶液と同じでなければなりません。 最終的な標準溶液でさまざまなpH値にするために、異なる比で溶液を混合することができます。 または、1つの溶液を別の溶液に添加するときにpHをモニタリングすることも可能です。

  • ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式の使用
    ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を使用し、解離定数、pKaを利用して標準溶液のpHを予測することができます。 弱酸(HA)が溶液内に存在し、水素イオン(H+)とその共役塩基(A-)への解離が均衡状態にある場合、解離定数は、この均衡点における酸の強度の尺度になります。 ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式は次のとおりです。 
  • Buffer Preparation - second formula

    ここで: pKaは弱酸の解離定数
    [A-]は均衡状態における共役塩基の濃度
    [Ha]は均衡状態における酸の濃度

    均衡状態における共役塩基と酸の濃度が同じ場合は、pHは解離定数と等しくなります。 この時点で、標準溶液は最大の緩衝能力を発揮します。
    ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式は、pHの直接測定による弱酸の解離定数の確認にも使用されます。
     

汎用標準液のメリット
汎用標準溶液は、複数の酸-塩基対の組み合わせで構成されています。 このため、汎用標準液は広い範囲で溶液のpH値を維持できるので、さらに多くのアプリケーションに使用できます。

標準液の調製と使用に関するその他のヒントとコツ
 

  • 標準液調製SOPを作成する
    標準液調製プロセスを文書化し、全員が確実に同じ手順に従って一貫性と再現性を確保できるようにすることをお勧めします。 SOPには、使用する材料のほか、成分の添加とpH測定のタイミングとその方法の厳密なステップが詳しく記載されていなければなりません。 SOPには、以下に説明する注意点が多く含まれる場合もあります。
     
  • 防護服を着用する
    特に強酸や強塩基を使用する場合には、防護ゴーグルや防護服などの個人用防護具(PPE)を着用する必要があります。
     
  • 微生物汚染を確認する(特に生物アプリケーション)
    すべての標準液を使用する前に容器の微生物汚染を確認してください。 pHが中性に近い標準溶液は特に汚染が発生しやすくなります。 溶液内に濁りが見られたり、容器の底に汚染物質が沈んでいる場合があります。
     
  • pHメータを適切に使用する
    正確なpH測定を確実に行うためにpHメータを定期的に校正し、メンテナンスする必要があります。 使用前に電解液を適切に調製し、電極の液絡部が確実に正しく浸かるように十分な量の標準溶液を使用しなければなりません。 読み取る前にpH値が安定するまで待ち、測定後は蒸留水で電極をすすぎます。 必ずpHメータを室温で使用するか、内蔵温度センサを備えた電極を使用します。
     
  • 温度に注意する
    解離の程度が温度によって異なることがあります。 したがって、分析時と同じ温度で標準溶液を調製する必要があります。 また、電極の校正温度が測定温度と同じであることを確認してください。
     
  • 濃度に注意する
    分析で使用するために必要な濃度まで保管用標準溶液を希釈することは一般的です。 ただし、濃度の変化が解離の程度に影響を与えることがあります。 pHは水素イオン(H+)の尺度のため、解離の変化がpHの変化を引き起こすことがあります。 希釈後、標準液を使用する前にpHを再確認する必要があります。

標準液調製のエキスパート

標準溶液の調製の課題

正確な標準液の調製

生物学用標準液調製ガイド

標準液の調製 – 包括的なデータ管理による最適化されたワークフロー

標準液の調製 – pHメータの校正

お勧めの関連コンテンツ

お勧めの関連コンテンツ

関連製品

FAQ(よくある質問) – 標準溶液の調製


 

1. 標準液を調製するための計量をもっと効率的にするには、どうすればいいですか?

 

メトラー・トレドのXPR/XSR天びんは、お客様独自の計量メソッドを保存することができます。 標準液の調製の場合、天びんの「テンプレートを使用した簡易調合」メソッドを使用し、標準液の各成分を、その目標重量と許容誤差範囲とあわせてレシピとして天びんに保存します。 このメソッドを開始すると、測定手順の各ステップのガイドが表示されます。 レシピの確認に時間を取られることがなく、手順のどの段階を実行しているのかがわからなくなることもありません。 計量結果は自動的に保存され、最後に印字できます。すべての計量結果を手作業で記録する必要がなくなるので、時間が大幅に短縮されます。


 

2. 標準溶液の調製に最適な天びんはどれですか?

最適な天びんは個別の要件によって異なります。 計量したい最大値と最小値に加えて、その計量に必要な精度(許容誤差や許容可能なエラーなど)も把握しておく必要があります。 メトラー・トレドは、お客様のアプリケーション要件を満たす適切な天びんの選定に役立つ無料のサービスを提供しています。 天びんのご相談については、最寄りの担当窓口までお問い合わせください。 このサービスは、お使いの既存の天びんがお客様の要件を満たすかどうかを確認することもできます。


 

3. 標準溶液の調製時には非常に多くのデータを記録します。 どうすればミスを回避できるでしょうか? エラーのないソリューションが必要です。

最初にバーコードリーダーを天びんに接続します。 これにより、サンプルID、ロット番号、注文番号などを電子的に記録することができます。 次にプリンタを天びんに接続します。 メトラー・トレドのP-5xシリーズのプリンタを使用すると、計量手順の最後にメタデータと日時を結果とともに自動的に印字することができます。 別のオプションとして、LIMSやERPに直接送信できるカスタマイズ可能なレポートなど、包括的なデータ管理を提供する研究室向けソフトウェアLabXに天びんを接続することもできます。


 

4. 標準溶液のpH値はどのように確認できますか?

精度を確認するには、pHメータの定期的な校正と確認が必要です。 ガイドをご参照ください。pHメータの簡単な校正に関するメトラー・トレドのソリューションの詳細をご紹介しています。動画「pH校正 ‒ 便利なハウツーガイド」をご覧ください。


 

5. 1つの成分を必要量を超えて添加すると、どのようになりますか?

1つの成分を間違って多く計量した場合は、その時点までに計量済みの材料を廃棄するのではなく、他の成分の量を増やすことができます。 量を手動で計算している場合には、この作業は困難で、エラーが発生する高いリスクがあります。 必要な追加量が非常に少ないために、お使いの天びんがこの操作に適していない可能性がある点にも注意してください。 これよりも精度が高く、最小計量値が小さいもう1つの天びんが必要になる場合があります。 お使いの天びんがLabXに接続されている場合は、LabXが必要な再計算を自動的に行い、手順の進捗を追跡することができます。