FTIR分光法

フーリエ変換中赤外分光法（FTIR）は、分子ごとの構造や分子混合物の組成を理解するために産業分野や学界の研究室で広く使用されている分析方法です。FTIR分光法では変調された中赤外エネルギーを利用してサンプルを評価します。赤外光は、分子中に存在する原子間の振動結合エネルギーと直接関係のある特定の周波数で吸収されます。振動の結合エネルギーと中赤外光のエネルギーが等しいと、結合はそのエネルギーを吸収することができます。分子中のさまざまな結合が異なるエネルギーで振動しており、それに応じて異なる波長の赤外線を吸収します。この個々の吸収帯の位置（周波数）と強度がスペクトル全体に影響を及ぼし、分子の特徴的なフィンガープリントを作ります。

FTIR分光法は製薬、化学、ポリマー業界で重要な分子解析の手法として、幅広く活用されています。FTIRによる分析は産業分野と学界のどちらの研究室でも使われており、物質の分子構造のほか、化学反応や触媒サイクルの反応速度、機構、経路の理解を深めるために役立っています。FTIR分光法は、原材料、中間体、最終製品が仕様の範囲に収まっていることを確認するために使われます。化学薬品や医薬品の研究開発では、FTIR分光法によるin-situ分析が、化学反応のスケールアップ、反応収率の最適化、副生成物の不純物の最小化に貢献しています。FTIR分光法は化学薬品や医薬品の製造現場でプロセス分析技術（PAT）として機能し、確実にプロセスが安定して制御され、最終製品の仕様が達成されるようにします。

 

化学者や技術者にとって、複雑な化学反応を理解することは、最大の課題であるとともに重要な機会です。化学反応の仕組みに対する基本的な知識だけでなく、プロセスを開発、スケールアップ、操作するための最適な条件が、最終製品の収率、純度、コストの目標を達成するカギとなります。リアルタイムの追跡と反応進行のモニタリングができるin-situ FTIRは、反応の仕組みや最適化の方法を開発するために最適な機能を持っています。反応に関する情報は、反応が進行する過程で試薬、中間体、生成物、副生成物などの重要な反応中の化学種の変化量を決定し、プロファイリングすることで得られます。これで開始、定常状態、終点などの重要な反応事象が分かります。リアルタイムでプロファイリングされたこの情報から、反応速度などの反応速度論に関する重要なパラメータが決定され、提案された反応機構の裏付けとなります。収集するデータポイントが非常に多いため、in-situ FTIRはReaction Profile Kinetic Analysis（RPKA）などのデータ量が多い実験で非常に有用です。簡単にまとめると、従来のオフライン分析では測定が不可能な場合が多い（圧力下にある、腐食性が強い、空気や水分と反応しやすい、毒性があるなど）のに対し、in-situ FTIRでは上記のすべてを容易に実現できます。さらに、オフライン分析は結果を得るのに数分から数時間かかり、再現性が低くなることもあります。

化学反応をリアルタイムで測定するには、変調した赤外線を反応容器か連続フロー装置に送り込み、その後、吸収されなかったエネルギーを分光光度計に戻す必要があります。これを実現するため、ReactIR技術では、管状の光学センサ先端に取り付けられ、化学反応の内部に挿入できる内部反射（全反射測定法/ATR）センサ、またはセルをモニタリングする連続フロー反応に不可欠なATRセンサを使用しています。

ATRメソッドは、化学反応の分析とモニタリングを行うFTIR機器を補完するものです。赤外線エネルギーがサンプルに浸透する深さが限られるため、光学的に密な反応混合物の高品質なFTIRスペクトルを得ることができます。化学反応の原液相が測定され、気泡、粒子、生物固体、水などが測定を妨げることはありません。

化学反応の分析に適しているATRセンサは、内部反射が得られるような屈折率であること、刺激の強い化学物質にさらされている環境でも劣化しないことが求められます。ダイヤモンドとシリコンはどちらもFTIR-ATR分析用センサの材料として優れていて、どちらを使用するかの選択は、試料の化学構造や追跡する必要がある赤外線ピーク位置によって異なります。 

In-situ FTIR分光法は、研究、開発の初期や後期、スケールアップ、反応最適化において広く使用されています。この技術で分析できるのは、バッチ反応とフロー反応、極性/非極性溶媒中の反応、幅広いpH、温度、圧力範囲の反応です。データ収集は自動的に行われ、通常は1分ごとに定性的情報または定量的情報が生成されます。in-situ FTIR分光法では、実験計画法（DoE）などの統計分析法をサポートするデータが得られ、オフライン分析のための待機時間は不要で、複雑な抽出サンプリングや準備が必要になることもありません。これは、速度依存性を理解するために多数の反応を実行するのではなく、わずか数回の実験で、反応を促す力を決定するために必要な情報が得られることを意味します。In-situ FTIRでは、反応速度パラメータが得られ、製造にシームレスに移行できる重要な管理パラメータ（CPP）が定義されます。反応中間体を検出・同定し、反応速度パラメータを測定する機能を持つin-situ FTIRは、提案された反応機構の裏付けを得るために広く使用されています。 

in-situ FTIR分光法の一般的な用途を以下に示します。

• エポキシド
• アルキル化反応とフリーデルクラフツアルキル化反応
• 重合反応
• 高圧反応
• 水添反応
• ヒドロホルミル化またはオキソ合成/プロセス
• グリニャール反応機構
• ハロゲン化
• リチオ化
• 生体触媒作用 | 酵素触媒作用
• フローケミストリー
• 金属/非金属触媒反応
• 鈴木–宮浦クロスカップリング反応
• C-H活性化反応

In-situ FTIR-ATRは、他の分子分光法などの代替分析手法よりも多くの利点があります。化学反応の研究開発に際して次のような利点が活用されています。

• 中赤外のエネルギー領域では出発物質、中間体、生成物、副生成物の詳細な「フィンガープリント」スペクトルが得られるため、この主要な種を時間の関数として継続的に追跡することができます。
• リアルタイムの測定、1分以内の間隔で実行
• In-situでは抽出サンプリングは不要、反応を妨げずに化学的性質を測定
• 非破壊分析のため、化学反応の本質を評価
• バッチ、セミバッチ、連続フローでの反応を測定
• 圧力下または高温・低温で行われる反応を測定
• 水溶性/非水溶性媒体での反応や幅広いpH範囲での反応を測定
• 浸漬型ATRセンサは一般的に腐食性試薬の影響を受けない
• 腐食性、毒性、危険性のある状態での反応をサンプリングせずにモニタリングできる
• 溶液相での測定、測定が気泡や固体粒子に妨げられることはない
• スペクトルデータがリアルタイムで濃度データに変換され、重要な反応速度パラメータの開発や正確な終点の決定ができる
• 実績豊富なPATメソッドであるin-situ FTIRでQuality by Design（QbD）をサポートし、CPPの定義とモニタリングを確実に行える
• 提案されたメカニズムを裏付ける重要な反応速度データや、事実に基づく証拠を得るための最も重要な手段を得ることができる
• In-situ FTIRは生産収率と品質に影響を及ぼす可能性のある過渡的な中間体の特定と追跡に役立ち、メカニズム理解の鍵となる
• 反応の傾向をリアルタイムで観察し、開始、定常状態、終点、分解などの重要な反応事象をモニタリングできる

• 有機触媒
• 金属触媒化学
• 化学/生体触媒作用
• C-H活性化
• メカニズム研究
• 反応速度/反応進行速度分析
• 触媒サイクル
• 重合反応速度

• 有機合成
• 水添反応
• 金属触媒反応
• 生体触媒作用/酵素触媒作用
• 晶析と再結晶（過飽和）
• ハロゲン化/リチオ化/フッ素/フッ素化化学
• 鈴木–宮浦クロスカップリング反応
• 有機金属化学
• 低温化学
• Quality by Design（QbD）とプロセス分析技術

• 中間体
• 界面活性剤
• フレーバー/香料
• コーティング/顔料
• 農薬用化学物質
• 反応開始剤
• バルクケミカル
• イソシアネート反応
• エチレンオキシドと酸化プロピレン
• 顕著な酸化反応
• ヒドロホルミル化
• 触媒反応
• ホスゲン化
• エステル化
• ハロゲン化

ReactIR 702Lは、in-situ FTIRの機能とそれに対応するリアルタイムでの操作性を統合した初のシステムです。ReactIRは、あらゆる研究者と実験を対象にしています。

ReactIRは終夜実験にも対応
ReactIR 702Lは液体窒素が不要で、電子冷却システムによりクラス最高のパフォーマンスを発揮します。装置のセットアップが安全になり、液体窒素の継ぎ足しも不要になるため、長時間反応のモニタリングが可能です

ReactIRは起動後、すぐに測定可能
小型で段積みが可能な本体はさまざま場所に設置でき、ドラフトチャンバー内のスペースを有効に活用できます。「常時オン」の検出器は起動時間を短縮し、信頼性の高いデータ収集を即座に開始できます。

ReactIRはあらゆる反応に対応
センサにはプローブ型とフローセル型があり、バッチ反応とフロー反応の両方で気液反応をモニタリングできます。 センサの構成材質は耐熱性、耐食性、耐圧性に優れており、過酷な反応条件下でもデータ収集が可能となります。

赤外分光測定による連続測定は、成分ごとのプロファイルを取得して反応速度を計算するために用いられます。学術誌に掲載されている論文の一覧には、in-situ FTIR分光法を活用した新規用途が重点的に記載されています。学術分野だけでなく工業分野の研究者はin-situ FTIR分光法を用いることで、実験データを総合的に解析し、研究開発を進めることが可能となります。

アルキル化

• Athavale, S. V., Simon, A., Houk, K. N., & Denmark, S. E. (2020). Demystifying the asymmetry-amplifying, autocatalytic behaviour of the Soai reaction through structural, mechanistic and computational studies.Nature Chemistry, 12(4), 412–423. https://doi.org/10.1038/s41557-020-0421-8
• Kariofillis, S. K., Shields, B. J., Tekle-Smith, M. A., Zacuto, M. J., & Doyle, A. G. (2020). Nickel/Photoredox-Catalyzed Methylation of (Hetero)aryl Chlorides Using Trimethyl Orthoformate as a Methyl Radical Source.Journal of the American Chemical Society, 142(16), 7683–7689. https://doi.org/10.1021/jacs.0c02805

生体触媒作用

• Allsop, G. L., Carey, J. S., Joshi, S., Leong, P., & Mirata, M. A. (2020). Process Development toward a Pro-Drug of R-Baclofen. Organic Process Research & Development, 25(1), 136–147. https://doi.org/10.1021/acs.oprd.0c00491
• Pesci, L., Gurikov, P., Liese, A., & Kara, S. (2017). Amine-Mediated Enzymatic Carboxylation of Phenols Using CO2 as Substrate Increases Equilibrium Conversions and Reaction Rates. Biotechnology Journal, 12(12), 1700332. https://doi.org/10.1002/biot.201700332

化学触媒作用

• Ren, R., Huang, P., Zhao, W., Li, T., Liu, M., & Wu, Y. (2021). A New ternary organometallic Pd(ii)/Fe(iii)/Ru(iii) self-assembly monolayer: the essential ensemble synergistic for improving catalytic activity.RSC Advances, 11(3), 1250–1260. https://doi.org/10.1039/d0ra09347e
• Wu, X., Ding, G., Lu, W., Yang, L., Wang, J., Zhang, Y., Xie, X., & Zhang, Z. (2021). Nickel-Catalyzed Hydrosilylation of Terminal Alkenes with Primary Silanes via Electrophilic Silicon–Hydrogen Bond Activation.Organic Letters, 23(4), 1434–1439. https://doi.org/10.1021/acs.orglett.1c00111

化学反応速度論

• Foth, P. J., Malig, T. C., Yu, H., Bolduc, T. G., Hein, J. E., & Sammis, G. M. (2020). Halide-Accelerated Acyl Fluoride Formation Using Sulfuryl Fluoride.Organic Letters, 22(16), 6682–6686. https://doi.org/10.1021/acs.orglett.0c02566
• Wei, B., Sharland, J. C., Lin, P., Wilkerson-Hill, S. M., Fullilove, F. A., McKinnon, S., Blackmond, D. G., & Davies, H. M. L. (2019). In Situ Kinetic Studies of Rh(II)-Catalyzed Asymmetric Cyclopropanation with Low Catalyst Loadings.ACS Catalysis, 10(2), 1161–1170. https://doi.org/10.1021/acscatal.9b04595

エポキシド

• Anderson, T. S., & Kozak, C. M. (2019). Ring-opening polymerization of epoxides and ring-opening copolymerization of CO2 with epoxides by a zinc amino-bis(phenolate) catalyst.European Polymer Journal, 120, 109237. https://doi.org/10.1016/j.eurpolymj.2019.109237
• Marbach, J., Höfer, T., Bornholdt, N., & Luinstra, G. A. (2019). Catalytic Chain Transfer Copolymerization of Propylene Oxide and CO 2 using Zinc Glutarate Catalyst.ChemistryOpen, 8(7), 828–839. https://doi.org/10.1002/open.201900135

フッ素化

• Morgan, P. J., Hanson-Heine, M. W. D., Thomas, H. P., Saunders, G. C., Marr, A. C., & Licence, P. (2020). C–F Bond Activation of a Perfluorinated Ligand Leading to Nucleophilic Fluorination of an Organic Electrophile.Organometallics, 39(11), 2116–2124. https://doi.org/10.1021/acs.organomet.0c00176
• Turksoy, A., Scattolin, T., Bouayad‐Gervais, S., & Schoenebeck, F. (2020). Facile Access to AgOCF3and Its New Applications as a Reservoir for OCF2for the Direct Synthesis of N−CF3, Aryl or Alkyl Carbamoyl Fluorides.Chemistry – A European Journal, 26(10), 2183–2186. https://doi.org/10.1002/chem.202000116

ハロゲン化

• Dunn, A. L., Leitch, D. C., Journet, M., Martin, M., Tabet, E. A., Curtis, N. R., Williams, G., Goss, C., Shaw, T., O’Hare, B., Wade, C., Toczko, M. A., & Liu, P. (2018). Selective Continuous Flow Iodination Guided by Direct Spectroscopic Observation of Equilibrating Aryl Lithium Regioisomers.Organometallics, 38(1), 129–137. https://doi.org/10.1021/acs.organomet.8b00538
• Sugiyama, M., Akiyama, M., Nishiyama, K., Okazoe, T., & Nozaki, K. (2020). Synthesis of Fluorinated Dialkyl Carbonates from Carbon Dioxide as a Carbonyl Source.ChemSusChem, 13(7), 1775–1784. https://doi.org/10.1002/cssc.202000090

ヒドロホルミル化

• Hood, D. M., Johnson, R. A., Carpenter, A. E., Younker, J. M., Vinyard, D. J., & Stanley, G. G. (2020). Highly active cationic cobalt(II) hydroformylation catalysts.Science, 367(6477), 542–548. https://doi.org/10.1126/science.aaw7742
• Yu, S. M., Snavely, W. K., Chaudhari, R. V., & Subramaniam, B. (2020). Butadiene hydroformylation to adipaldehyde with Rh-based catalysts: Insights into ligand effects.Molecular Catalysis, 484, 110721. https://doi.org/10.1016/j.mcat.2019.110721

反応速度論

• Hosoya, M., Shiino, G., & Tsuno, N. (2021). A Practical Transferring Method from Batch to Flow Synthesis of Dipeptides via Acid Chloride Assisted by Simulation of the Reaction Rate.Chemistry Letters, 50(6), 1254–1258. https://doi.org/10.1246/cl.210103
• Yang, C., Feng, H., & Stone, K. (2021). Characterization of Propionyl Phosphate Hydrolysis Kinetics by Data-Rich Experiments and In-Line Process Analytical Technology.Organic Process Research & Development, 25(3), 507–515. https://doi.org/10.1021/acs.oprd.0c00451

リチオ化

• Rao, K. S., St-Jean, F., & Kumar, A. (2019). Quantitation of a Ketone Enolization and a Vinyl Sulfonate Stereoisomer Formation Using Inline IR Spectroscopy and Modeling.Organic Process Research & Development, 23(5), 945–951. https://doi.org/10.1021/acs.oprd.9b00042
• St-Jean, F., Piechowicz, K. A., Sirois, L. E., Angelaud, R., & Gosselin, F. (2018). Study of a Competing Hydrodefluorination Reaction During the Directed ortho-Lithiation/Borylation of 2-Fluorobenzaldehyde.Organometallics, 38(1), 119–128. https://doi.org/10.1021/acs.organomet.8b00730

重合

• Ambrose, K., Murphy, J. N., & Kozak, C. M. (2019). Chromium Amino-bis(phenolate) Complexes as Catalysts for Ring-Opening Polymerization of Cyclohexene Oxide.Macromolecules, 52(19), 7403–7412. https://doi.org/10.1021/acs.macromol.9b01381
• Zhang, D., Zhang, Y., Fan, Y., Rager, M. N., Guérineau, V., Bouteiller, L., Li, M. H., & Thomas, C. M. (2019). Polymerization of Cyclic Carbamates: A Practical Route to Aliphatic Polyurethanes.Macromolecules, 52(7), 2719–2724. https://doi.org/10.1021/acs.macromol.9b00436

鈴木–宮浦クロスカップリング反応

• Matelienė née Dauksaîtė, L., Knaup, J., von Horsten, F., Gu, X., & Brunner, H. (2020). Benign Arylations of Dimethyl Itaconate via Heck-Matsuda Reaction Utilizing in-Situ Generated Palladium on Aluminum Oxide.European Journal of Organic Chemistry, 2020(1), 127–135. https://doi.org/10.1002/ejoc.201901708
• Reddy, K. S., Siva, B., Reddy, S. D., Naresh, N. R., Pratap, T. V., Rao, B. V., Hong, Y. A., Kumar, B. V., Raju, A. K., Reddy, P. M., & Hu, A. (2020). In Situ FTIR Spectroscopic Monitoring of the Formation of the Arene Diazonium Salts and Its Applications to the Heck–Matsuda Reaction.Molecules, 25(9), 2199. https://doi.org/10.3390/molecules25092199

合成

• Connor, C. G., DeForest, J. C., Dietrich, P., Do, N. M., Doyle, K. M., Eisenbeis, S., Greenberg, E., Griffin, S. H., Jones, B. P., Jones, K. N., Karmilowicz, M., Kumar, R., Lewis, C. A., McInturff, E. L., McWilliams, J. C., Mehta, R., Nguyen, B. D., Rane, A. M., Samas, B., Sitter, B. J. Ward, H. W., & Webster, M. E. (2020). Development of a Nitrene-Type Rearrangement for the Commercial Route of the JAK1 Inhibitor Abrocitinib.Organic Process Research & Development, 25(3), 608–615. https://doi.org/10.1021/acs.oprd.0c00366
• Millward, M. J., Ellis, E., Ward, J. W., & Clayden, J. (2021). Hydantoin-bridged medium ring scaffolds by migratory insertion of urea-tethered nitrile anions into aromatic C–N bonds.Chemical Science, 12(6), 2091–2096. https://doi.org/10.1039/d0sc06188c