溶存酸素電極は、溶液に溶解している酸素の量を測定します。品質の指標として、製品に含まれる非化合物の遊離酸素の量が測定されます。製薬の開発研究、食品・飲料の品質管理、環境モニタリングなどで使用され、洗浄にも対応する長寿命の安定した測定結果を提供します。メトラー・トレドは、幅広いラボアプリケーションで正確なDO測定を行うための光学式/ポーラログラフ式/ガルバニ式電極を提供しています。
酸素濃度を正確に測定するには、信頼できる溶存酸素電極が欠かせません。高品質の材料と効果的な技術の組み合わせにより、メトラー・トレドの光学式電極、ポーラログラフ式電極、ガルバニ式電極は、ラボやフィールドのアプリケーションで正確なDO測定を実現します。
InLab® OptiOx™ DOセンサは、RDO®(Rugged Dissolved Oxygen)テクノロジーを利用しており、光学式DO測定を簡素化できます。これにより、測定中にサンプルの酸素が消費されず、高速で安定したシステムが実現されます。しかもメンテナンス作業はごくわずかで済みます。BOD測定アプリケーション(生体酸素要求量)に最適です。
メトラー・トレドのポーラログラフ式溶存酸素電極は、過酷な環境や、光学式の測定を選択できない用途のために設計されており、強化グラスファイバーPPSシャフトを備えています。また非常に堅牢なこのDO電極は、透過性の高い膜を備えており、正確な溶存酸素測定が保証されます。
ガルバニ式DOセンサには、異なる金属(貴金属性が異なるもの)からなる2つの電極が電解液に含まれています。電極同士は配線で接続されており、その間を電流が流れます。これは、予算重視のお客様が高品質の測定を行うのに適したオプションであり、メトラー・トレドの標準メーターシリーズと完全に連携します。
インテリジェントセンサマネジメント(ISM®)テクノロジーにより、この機器は接続されたDOセンサを自動的に検出し、保存されている最新の校正データを使用します。これにより安全で正確、トレーサブルな結果が保証されます。
メトラー・トレドの溶存酸素電極はIP67を備えることで、お使いのポータブル型DO測定システム全体が湿潤環境や屋外での使用に耐え、しかも高い精度と耐久性を発揮します。
メトラー・トレドは、メーターやセンサから校正標準液、ソフトウェアまで、電気化学測定ソリューションを提供しています。インテリジェントセンサマネジメント(ISM®)テクノロジーを活用してデータの規制遵守をサポートすることができます。
メトラー・トレドは、設置から予防保守、校正、機器の修理まで、測定機器のライフサイクル全体を通してサポートとサービスを提供いたします。
以下のタイプの溶存酸素センサを、ラボとフィールド(屋外)のアプリケーションに使用できます。
a. 光学式溶存酸素電極(InLab OptiOx)
b. ポーラログラフ式溶存酸素電極(InLab 605)
c. ガルバニ式溶存酸素電極(LE621)
光学式DO電極では、センサの先端にある膜に埋め込まれた特殊な染料を使用します(図参照)。この染料は、センサが内部で発する青色光を吸収することで励起します。励起した染料は基底状態に戻ると赤色光(蛍光)を放射し、それがセンサ内部の受光素子で測定されます。膜の外面に酸素分子が存在すると、励起した染料の過剰エネルギーを吸収します。この吸収によって、受光素子に到達する蛍光の量が減少(クエンチ)します。サンプルに含まれる酸素が多いほど、蛍光のクエンチ量が増え、測定される信号が小さくなります。センサには赤色の光源も搭載されています。この光は染料を励起しないので蛍光を発生させず、染料で反射され受光素子で測定されます。この赤色光を基準光として使い、例えば染料の減衰や受光素子の温度依存性感度などによる、酸素のクエンチによらない受光量の減少を考慮します。詳しくは、以下のビデオをご覧ください。
この電極には銀アノードがあり、金またはプラチナ製の貴金属カソードに囲まれています。この電極は、機器から供給される定電圧により分極します。その結果、アノードには正の電荷、カソードには負の電荷が生じます。膜には電解質であるKClが含まれており、この膜により電解質とサンプルが分離します。電極に酸素が入ると、酸素分子がカソードで還元されて水酸化物イオンが形成されます。分極ポテンシャルは一定に保持されるので、酸素反応によって電気信号が増加します。この作用は、サンプル中の酸素分圧に比例します。電極は、銀アノードが酸化されて消費される化学反応を利用しています。対照的に、カソードは貴金属であり反応には関与しません。代わりに、カソードがもたらす面では、アノードから導線を通じて移動する電子によって酸素が還元されます。
2つの電極を含んでおり、アノードは一般的に亜鉛または鉛製で、カソードは一般的に銀または他の貴金属製です。電極同士は配線でつながっており、その間を電流が流れます。これらのコンポーネントはシャフトに収められており、シャフトは酸素を選択的に透過させる膜で密閉されています(図参照)。電解質は、水溶性かつアルカリ性のものでなければなりません。電極に酸素が入ると化学反応が起こり、アノードが酸化されて(電子を供与)消費されます。
対照的に、カソードは貴金属であり反応には関与しません。カソードは、酸素還元が起こる反応面として存在します。電子が導線を通じてアノードからカソードに移動すると電流が生じ、その電流がDOメーターで測定されます。システムに入る酸素が多いほど、発生する電流が増えます。
特性 | ガルバニ式DO電極 | ポーラログラフ式DO電極 |
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以上から、ガルバニ式センサではウォームアップ時間が不要で、ポーラログラフ式電極と比べて、溶存酸素が低いレベルではより安定しています。これとは対照的に、ポーラログラフ式センサの寿命はより長くなります。個別のセンサの動作原理について詳しくは、上記の質問3と4を参照してください。
a. 電気化学センサでは、膜の完全性をチェックする必要があります。さらに、電解液を補充するタイプの場合、電解液の補充が適切であることを確認する必要があります。
b. ポーラログラフ式センサを使用する場合、センサの適切な分極を確認する必要があります。
c. ラボ用光学式DOセンサは、使用前の準備は不要です。
標準的な酸素測定では、酸素飽和度100%(水飽和空気)で1点校正を行えば、多くの用途に十分対応できます。低酸素濃度測定(10%または0.8 mg/L未満)では、2番目の校正点を設け、無酸素標準液(酸素飽和度0%に相当)を使用することが推奨されます。このためには、ゼロ酸素タブレットを水に溶かし、水の中に溶存する酸素をすべて除去します。
電気化学で使用するラボ用DOセンサの場合は、測定中にセンサが酸素を消費するため、攪拌が必要です。攪拌は一定の速度で行う必要があります。電気化学用の電極とは対照的に、光学式DO電極の場合は酸素を消費しないので撹拌は必要ありません。測定時間を短縮するために、測定を開始する前に電極の先端をサンプルに浸ける必要があります。先端を浸ける手順により、酸素濃度と温度を平衡させることができます。電極の先端に気泡ができないようにしてください。気泡ができると、気泡の酸素濃度も測定されるので、誤った測定結果につながります。
大半の電極はIP67認証を受けており、ポータブルシステム全体が湿潤で過酷な環境条件への耐久性を備えています。
弊社のラボ用DOセンサの大半には温度センサが内蔵されており、サンプルの正しい温度を測定できます。
このDOセンサはグラスファイバー強化PPSシャフトとスチールメッシュで保護された測定膜を備えており、過酷な用途に最適です。
生物学的酸素要求量(BOD)は、バクテリアなどの微生物が指定の温度で好気条件において有機物を分解するときに消費する酸素量を表します。BODは水処理施設での重要なパラメーターで、水中の有機物汚染の度合いを示します。詳細については、このトピックに特化した弊社ガイド「生物学的酸素要求量・理論から実践まで」をご覧ください。SevenExcellence DOメーターを使用すると、独自のBOD測定プロセスを瞬時にセットアップできます。
はい、InLab OptiOxはBODの測定に最適な仕組みです。専用のOptiOx BODアダプタを使用すると、センサがあらゆる標準的なBODキャニスターでの測定に完全に適応します。
いいえ、InLab OptiOxの堅牢な設計と適合するアクセサリによって、ラボ内と屋外の両方でさまざまなアプリケーションに最適なセンサとなります。スチール製のOptiOxプロテクター(下図)は、過酷な環境でセンサを保護します。プロテクターは軽量で、低い測定位置にも簡単に延長できます。