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熱分析アプリケーションマガジン UserCom 5  (日本語版)

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UserComは、熱分析に関わる研究者向けのアプリケーションマガジンです。

熱分析 UserCom 5(日本語版)
熱分析 UserCom 5(日本語版)

熱分析 UserCom 5内容

TAのヒント

  • 熱分析における容器

製品情報

  • 新しいセラミックセンサー(FRS5)
  • STAReソフトウェアV5.0
  • 新しい容器
  • 熱可塑性プラスチック・ハンドブック

アプリケーション

  • 医薬品の有効期間
  • TG-MS接続
  • 硫酸カルシウムの測定
  • 熱重量分析を使用した酢酸ビニル含有量の決定
  • TMAによるPETの物理的硬化

熱分析を利用した薬の有効期間の推定

医薬品の活性成分は熱安定性がよくないのが通例です。周辺温度で保管していても、薬はその薬理活性に 影響する各種の化学変化をおこします。したがって医薬品の有効期間(薬がその活性を保持する期間)を 知ることが重要になります。有効期間を直接評価するには、数ヶ月間にわたって少し温度を高くした(30-40℃)恒温槽の中で医薬品を保管することが必要になります。間隔をおいて採取したサンプルを分析することによって薬の成分をモニターすることができます。薬理活性は活性を有する医薬成分濃度の直接的関数であると仮定すれば、何らかの限界的濃度に到達する期間として有効期間を推定することが可能です。有効期間の 信頼性の高い数値を示すことができるとはいえ、直接評価は費用が高くつき時間のかかる手順です。

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TG-MS接続

多くの材料は、加熱やコンディショニングをすると蒸発や分解効果が観察されます。これらの効果は、DTA、DSCまたはTGAによって検出されます。残念ながら、これらの測定手法は、生成物された生成物または断片に関する情報は何も示してくれません。こうした情報は、多くの場合に極めて有用になるものです。

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硫酸カルシウムの測定

完全な新しい高温TGA/SDTAカーブをお見せいたしす。測定は、1000℃~1600℃の温度範囲で実行しました(図10)。サンプル作成:ファーネスで10分間に500℃まで昇温することによって、二水和物(Fluka21 245)から硬セッコウを作成しました。

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TGAによる酢酸ビニルコンテントの決定

原理

酢酸ビニル(VAc)は、200℃~400℃の間で分解して酢酸を遊離します(図 11)。この分解ステップは、コーポリマー(EVAタイプ)中のVAc含有量を計算するために利用することができます。但し、この温度範囲では、サンプルは追加の重量損失(例、Al(OH)3)を示さないことが条件です。

サンプルは 850℃まで連続的に加熱されます。吸着した水分は 200℃までに除去されます。200℃~380℃までの間に酢酸の喪失が起り、390℃~500℃の間で残留ポリマーの熱分解が起ります。600℃~850℃で、 炭素残留物またはカーボンブラックが酸素中で燃焼します。850℃で、酸化残留物の形式でフィラーが見い出されます。

フィラーを含まない純粋な EVA コーポリマーでは、大半の場合 600℃までの温度範囲で十分です。

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ダイナミックロード TMA による PET の物理的硬化

サンプル

ポリエチレンテレフタレートのディスク(メトラー・トレドのチュートリアルキット)

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ノウハウ