ケーススタディ

大きなインパクトを秘めた小さな力

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研究者がミバエの上昇力を調査している
研究者がミバエの上昇力を調査している

 

ミバエ(実蠅)が飛ぶにはどのくらい上昇力が必要なのでしょうか?

マイクロフォースセンサは、そのような疑問に答えることができる上、ごく微小な力も測定できます。スイス連邦計量・認定局(METAS)では、メトラー・トレドが開発したミクロ天びんが小型センサの校正に役立っています。

 

マイクロフォースセンサは、ロボット工学、生物学、医薬、その他多くの分野で利用できます。 「最小限の不確かさでかつてないほど小さな測定単位で測定する、という一般的な傾向がある」と、SPG MetrologyのJavier Levitt氏は述べています。 マイクロ技術やナノ技術による新製品の開発には、精度と比較可能性が求められます。 しかしごく最近まで、マイクロフォースセンサをトレース可能な方法で校正するのは不可能でした。

 

 

テストステーションの中核に位置づけられた改造版XP6Uミクロ天びん。 (出典: METAS)
テストステーションの中核に位置づけられた改造版XP6Uミクロ天びん。 (出典: METAS)

これを打破するために、METASの研究室"Mass, Force and Pressure"は2013年、小型センサ向けのトレース可能な校正メソッド開発を目標とする研究プロジェクトを開始しました。

「あるパートナー企業から、彼らが生産するマイクロフォースセンサ用の校正手段を私たちが開発できないか、という問い合わせがあったのです」と、Stefan Russi氏は話します。 Russi氏はMETASのマイクロ技術のエキスパートとして同僚のManuel Aeschbacher氏とともにこのプロジェクトを統括しました。

内部のコラボレーション

他の測定エンジニアが極小センサの校正をどのように実施しているかを把握するため、このエンジニア2氏は韓国やドイツ連邦共和国国立計量標準機関[Physikalisch-Technischen Bundesanstalt - PTB]の専門技術者とも情報やアイデアを交換しました。

 

PTBを訪れた後、Russi氏とAeschbacher氏は実験装置構成に使用するコンポーネントを決定し、その調達先を確定しました。 このような経緯から、両氏はメトラー・トレドにたどり着いたのです。

このMETASチームはLabTecワークショップでSPG Metrologyとも合流し、実験装置構成の基盤にXP6Uミクロ天びんを採用することを決めました。 「この天びんは特別でした。なぜなら改造を必要としたからです。

メトラー・トレドはとても協力的で、私たちは良好な連携関係を築きました。 メトラー・トレドには大変感謝しています」とStefan Russi氏は話します。

連携作業は順調に進み、METASはマイクロフォースセンサのトレース可能な校正を提供できるようになりました。 PTBとの測定値の比較で、新しい校正方法の信頼性が確認されました。

現在、スイスの計量学エキスパートである両氏は国際度量衡局(BIPM)による校正手続き認定を申請しています。 新しい校正方法は近日中にBIPMのデータベースに含まれる見込みです。

2013年以来、Stefan Russi氏(左)とManuel Aeschbacher氏(右)はマイクロフォースセンサのトレース可能な校正の実現に尽力。
2013年以来、Stefan Russi氏(左)とManuel Aeschbacher氏(右)はマイクロフォースセンサのトレース可能な校正の実現に尽力。

2013年以来、Stefan Russi氏(左)とManuel Aeschbacher氏(右)はマイクロフォースセンサのトレース可能な校正の実現に尽力。