ガイド

トラックスケール購入ガイド – 第2版

ガイド

次のトラックスケールを設計する際に必要なすべての知識

新しいはかりの購入を検討しようとしても、信用できる中立的な視点の情報を見つけるのは難しい場合があります。重要な判断材料に関する情報を掲載した実用的な資料は必ずお役に立ちます。

今回更新されたこのガイドは、新しいトラックスケールを購入する際に、購入を検討している方が知識に基づいて選定できるように作成されています。購入に着手する手がかりが必要な場合にも、技術や仕様、オプションについてさらに知りたい場合にも、役立つガイドとなっています。

ガイドには以下のセクションが含まれています。

1.トラックスケールの動作

2.はかりと計量に関する規制

3.サイトのプランニング

4.トラックスケール選定の基本情報

5.ロードセル

6.トラックスケール仕様

7.はかりの初期費用と継続的性能

8.設置と認証

9.メンテナンス/サービス/保証

10. はかりと計量に関する規制

 

メトラー・トレドが提供するトラックスケール向けの包括的なサービスについて詳しくはこちらへ

トラックスケールとは?

トラックスケールまたは計量ブリッジは、あらゆるサイズのトラックを計量できる工業用はかりです。トラックスケールの最も一般的な用途は、トラック貨物サイズの数量で売買されるバルク商品の重量を調べることです。このような場合、はかりからの情報は業務取引の重要な要素になります。はかりはレジのような働きをします。行政執行機関では、トラックスケールを使って、トラックが道路走行車両重量制限に準拠しているか確認します。また、トラックスケールは、固体廃棄物処理やリサイクルセンター、建設現場などの施設で搬入/搬出されるものの量をモニタリングするためにも使用されます。

平均的なトラックスケールの全長は?

トラック全体の重量を量る必要があるような用途では、トラックスケールは計量を予定している最も長いトラックの全車輪を保持するのに十分な長さでなければなりません。これは通常、牽引式セミトレーラーでは18~24 m、ダブルトレーラーでは最大30 mです。長距離輸送の牽引式トレーラーの最大全長は、通常、地域/州/地方当局によって規制されています。

ロードセルとは?

はかりで重量を測定するために使用されるセンサ機器です。ロードセルはあらゆるトラックスケールの中核部分です。ロードセルは、スケールデッキ上の計量物の重さを測定するセンサです。大半のトラックスケールでは6~12個のロードセルが必要です。これらのロードセルが完璧に連動することで正確な重量表示が実現されます。

トラックスケールが機能する仕組みは?

トラックスケールが正しく機能するためには、5つの主要なコンポーネントが適切に連携する必要があります。1.基礎: 恒久的な設置にはコンクリートの基礎を使用します。2.計量ブリッジ: スケールデッキとも呼ばれ、トラックが走行する面となる構造体です。計量ブリッジは一般的に、複数のモジュール部材で構成されており、必要な長さになるようにそれらを合わせて配置します。3.ロードセル: はかり上の重量を計測するセンサです。最新式のはかりでは、計量ブリッジはロードセル自体によって支持されています。4.指示計: インジケータとも呼ばれ、はかりの操作パネルの役割を果たします。指示計はオペレーターに計量値を表示し、多くの場合、はかりの他の周辺機器の接続ポイントとして機能します。5.ケーブル: ロードセルからの信号は指示計に送信しなければなりません。この送信をケーブルで行います。

トラックスケールのコンクリート製デッキとスチール製デッキの違いは?

スチール製デッキとコンクリート製デッキは設計仕様が同じなので、基本的に同じ計量性能を発揮します。しかしいくつかの違いから、一方のタイプのデッキがお客様の用途にとって有利になる場合もあります。スチール製デッキのトラックスケールでは、設置時間が短く1日で済み、比較的軽量です。コンクリート製デッキのトラックスケールでは、コンクリートの硬化時間を考慮する必要があり、設置に28日間かかります。またコンクリート製は各段に重くなります。スチール製デッキは濡れると滑りやすくなりますが、コンクリート製デッキのトラックスケールはスチール製よりも高いグリップ力が得られます。またコンクリート製デッキのトラックスケールは、スチール製デッキでは推奨されない点荷重にも適します。メンテナンス、耐用年数、総事業費は、両方ともほぼ同じです。事業主は、各自の用途とニーズに最適なタイプを判断する必要があります。

和算箱とは?

和算箱は、大半のデジタルロードセルとともにアナログロードセルでも使用されます。和算箱は複数のロードセルの信号をまとめて、集計した信号を伝送します。アナログロードセルを使用する標準的なトラックスケールには2~4個の和算箱が使われます。

ピット式と地上式の基礎の違いは?

ピット式のはかりは、名前が示すように掘削穴の上に構築され、計量プラットフォームの表面が周囲の地面と同一平面になります。ピットの深さは都合に合わせて決めますが、メンテナンス担当者による点検のしやすさに影響する場合があります。ピットレス式、またはオープンサイドのはかりは勾配で構築され、側面の高さは約28~51 cmです。片側または両側が塞がれていない場合があります。多くの場合、ピット式とピットレス式は好みに応じて選択されていますが、場合によってはピット式が必要なケースもあります。たとえば、アプローチのスペースが十分ではない、高さ制限がある、安全規制上の理由でトラック落下の心配がないピット式が必要な場合などです。企業の要件や設置の要件など、個々の条件に応じて選択してください。

トラックスケールをアップグレードする方法は?

トラックスケールの交換には高い費用がかかり、ロードセルの故障であれば交換が不要な場合もあります。特に比較的新しいトラックスケールでダウンタイムや修理が頻発するのであれば、多くの場合、ロードセルシステムの一部(ロードセル、ケーブル、コネクタ、和算箱)に問題があります。これらのコンポーネントをPOWERCELL® PDX®デジタルロードセルシステムでアップグレードすれば、高いコスト効率で、問題のあるトラックスケールを新品よりも優れたトラックスケールに換えることができます。メトラー・トレドは、競合他社のはかりであっても、最新のデジタルロードセルテクノロジーで簡単に改良できます。

トラックスケールの正確性の程度は?

はかりが正確であるのは当然だと考えられがちです。しかし、トラックスケールを使用して商品を売買する場合、トランザクションには正確性が非常に重要です。トラックスケールの正確性は、利益率、在庫管理レベル、品質管理にも影響する場合があります。ご使用のトラックスケールの正確性に関する法定許容誤差は地域によって異なり、また当該地域で定められた規制が、NIST/NTEP、OIMLのどれに基づくかによっても変わります。許容誤差は、使用されているトラックスケールのひょう量と計量のきざみの大きさに関係します。たとえば、NTEP規制の規定では、ひょう量90 tのトラックスケールで32~36 tのトラックを計量する場合、プラスマイナス72 kgの誤差が許容されます。この正確性のレベルは許容範囲内にありますが、メトラー・トレドのPOWERCELL PDXは優れた正確性を提供しています。

はかりを落雷から保護する方法は?

ほとんどのトラックスケールのプロバイダーは、数々のアース機能を搭載した計量システムを提供しています。サージプロテクタ付きの一点アースシステムは、トラックスケールとスケールハウスの第一の防御ラインとして機能します。このようなパッシブ(受動的)システムでもある程度の保護は実現できます。アクティブ(能動的)システムであれば、落雷の電流が主要な部品に流れないように迂回させることができます。POWERCELL PDXデジタルロードセルには、StrikeShieldと呼ばれる能動的な落雷保護システムが装備されています。このロードセルは、落雷を指示計から能動的にそらします。その有効性を証明するために、実験室で最大80,000 Aの試験が実施されました。

トラックスケールの平均寿命はどの程度ですか?

大半のトラックスケール所有者は寿命を10~20年と想定していますが、寿命はいくつかの要素に応じて変わります。まず、適切なトラックスケールのモデルと最高品質のメーカーを選ぶかどうかによって、長い寿命が得られるか、寿命が短いために後悔するかが決まります。トラックスケール購入時には、製造品質に大きなばらつきがあることを考慮する必要があります。環境的な要因とトラック計量の頻度も影響します。1日あたりトラック200台を計量するトラックスケールは、トラック20台だけを計量するものよりも早く消耗します。メトラー・トレドには、35年前から現在も現場で稼働しているトラックスケールがあります。競合他社の多くは、はかりの製造実績がわずか10年ほどです。トラックスケールを購入する際は、定評ある実績を考慮してください。

トラックスケールの校正頻度は?

大半の商取引適合計量では、地域の計量・測定当局から、トラックスケールの法令遵守の認証を一定間隔(1年、半年など)で取得することが求められます。校正の頻度を決めるときに考慮する点には、1日に計量するトラックの台数もあります。大量の台数を計量する必要があれば、はかりの正確性が許容範囲から逸脱する時期が早まり、増益の機会を失うおそれもあります。トラックスケールで1日に大量のトラックを計量する場合は、校正の頻度を増やすことを検討してください。さらに、環境的な要因もトラックスケールの校正に影響します。温度が変動すると、大規模な構造が膨張、収縮します。このようなわずかな変化は、トラックスケールの校正に悪影響を及ぼします。POWERCELL PDXなどの最新型トラックスケールは、これらの影響を防御し、影響を補正できます。しかし、これが可能なトラックスケールはごく一部に限られます。

その他の参考資料: