人間工学的なピペッティングで反復性疲労障害を削減 - メトラー・トレド

人間工学的なピペッティングで反復性疲労障害を削減

人間工学的なピペッティングで反復性疲労障害を削減
人間工学的なピペッティングで反復性疲労障害を削減

ピペッティングは意外にも重労働です。特に、大量のサンプルを繰り返しピペッティングする場合に顕著な影響が現れます。手、手首、肘、上腕、前腕、肩が、夕方には痛みを感じるようになります。症状の多くは、数か月、数年かけて徐々に発症します。最初の痺れや疼くような感覚は、後で痛み、腫れ、痙攣を伴うようになります。重労働に生理的に順応するため、筋肉の緊張が増大し、次々に関係する体の各部に負担をかけるため、状態は悪化します。

ピペッティングに関して言えば、重症のRSI/RMI反復性疲労障害の発症や日常業務に支障をきたす障害は、使用しているピペットを軽量のピペットに変えれば解決する、というような単純な問題ではありません。ピペッティングは多大な労力を必要とする反復的な動作で、労働衛生上のリスクを伴うことがあり、このことを理解することは重要です。

また、使用するピペットの性能に強く依存し、特に低容量のピペッティングをする場合に顕著であることも配慮する必要があります。反復的なピペッティング時のばらつきは、ピペッティングの精度と正確さに影響する可能性があります。たとえば、痛みによってユーザーのピペッティングリズムやプランジャーに加わる圧力にばらつきが生じる場合があります。また、痛みの影響でサンプルを十分に吸引したり、吐出しない状況を引き起こすことも考えられます。したがって、ピペッティングはユーザーの健康に影響を与えるだけでなく、精度と正確さ、つまり実験そのものの信頼性にも影響を与えます。人間工学的に最適なピペッティングを実現するためには、最終的に次の4点が重要です。

  • ピペッティングにかかる力を削減するために最適なピペットとチップを選択すること
  • 反復的作業の手順を簡素化・改善すること
  • 作業場所の環境を整備し、正しい姿勢で作業すること
  • 定期的に休憩を取ること

メトラー・トレド独自のガイドラインGood Pipetting Practice(GPPTMの一環として、ピペッティングの技術と人間工学について十分に学ぶためのツールをご提供しています。GPPは、ピペットユーザーがピペッティングにおける人間工学的な要因に基づくリスクを見極めるのに役立ちます。また、実験室における日常的なピペッティングを改善するためのテクニックも提供しています。正しいピペッティングを実践することで、ユーザーの健康と研究成果の両方で良い結果が得られます。

ピペッティング時に必要となる力はどれくらいだと思いますか?

容量の設定、プランジャーの操作、チップの取り付けと取り外しなど、さまざまな力を使用するピペッティング作業では、数キログラムの力を必要とすることがあります。そして、ほとんどの作業を親指で行います。親指を酷使すると、腱、靭帯、筋肉でつながる体のほかの部分にも影響が出ることがあります。筋肉、腱、靭帯に非常に細かい傷ができ、常に負荷がかかった状態になり、完治することが難しくなります。そのため、親指の負荷を軽減することは、最適な人間工学的なピペッティングを実現するために重要です。ピペッティング操作で親指の酷使を避けるには親指に加わる力が各個人の最大力量の30%を超えないようにする必要があります。これは、男性で平均3kg、女性で2.1kgです。

ピペッティングの最初のステップとなるサンプルの吸引では、従来型の空気置換式ピペットを使用すると、親指には動的外力とピペット保持のための静的外力を合わせて最大3kg必要になります。次のステップのサンプルの吐出では、ブローアウトまで含め、約4kgのさらなる力が必要です。ここですでに安全とされる力を越えていますが、チップを従来型の円錐形シャフトに取り付けるステップは間違いなく損傷の原因となります。約5.5kgの力が必要だからです。チップの取り外しに必要な力は、チップ取り付けにかかった力にも比例しますが、約4kgです。チップの取り付け方法は個人によって異なり、さまざまなやり方がありますが、現実的にはチップがピペットに必要以上に強く押し込まれたり、指で強く取り付けられた場合、取り外しに最大で10kgの力が必要となります。更に8連、12連のようなマルチチャンネルピペットのチップ取り外しにはシャフト(ノーズコーン)数に乗じた力が必要になります。

人間工学に基づくピペッティングソリューション

レイニンピペットの開発者は、現在まで長年にわたり、特にピペッティングにかかる力に注目してピペットのデザインを継続的に改善してきました。

チップの取り付け

レイニンLiteTouch™システム(LTS)はピペットの人間工学的な側面を向上する重要な構成要素です。シャフトとチップのデザインを従来の円錐形から円筒形に変更することで、シャフトとチップの接触面積を大幅に削減しました。LTSチップのポジティブストップは、チップを常にシャフトの最適な位置に取り付け、入りすぎを防止するのに役立ちます。LTSチップと従来のチップを比較する研究では、円錐形のチップを取り付けるのに数kgの力がかかるのに対し、LTSチップを取り付けるのにかかる力は1kgに過ぎないことが示されています。これは特に複数のチップを均一に取り付ける必要のあるマルチチャンネルピペットで効果を発揮します。

チップの取り外し

チップの取り外しは、非常に大きな力が必要となる重要な課題です。円錐形のチップとシャフトシステムでは、チップの取り外しに必要な力は取り付けにかかった力に比例するため、人間工学的に推奨される力を大幅に超過します。LTSシステムは、ポジティブストップによりシールされるタイミングがはっきりわかり入りすぎを防止するため、大幅な改善が見られます。取り付けにかかった力にかかわらず、たとえば200μLのLTSチップでは取り外しに必要な力はわずか0.6kgです。これに対し、従来のチップでは約4kgです。

また、チップ以外の設計もチップの取り外しに掛る力の軽減に貢献しています。シリコン製のショックアブソーバーは、チップを取り外す際の衝撃を緩和し親指を保護します。親指がゆっくりと動くことで、筋肉や腱も保護されます。右のグラフは、チップの取り付けと取り外しにかかる力の相関関係を、従来の円錐形チップとレイニンLTSチップで比較したものです。

吸引と吐出

ピペットは2つのスプリングで動作します。最初のスプリングはサンプルの吸引と吐出に使用され、2つめはサンプル吐出を完全にするブローアウト操作で使用されます。サンプルのブローアウト用のスプリングはより大きな抵抗があり、ユーザーはピペッティングの一連の流れ:吸引-吐出-ブローアウトのそれぞれの停止位置をしっかり感知し、保持できるようにします。この一連の抵抗が減るとRSIは防げますが、残念ながらユーザーが最初の停止位置(ゼロポイント)をあまり簡単に認識できなくなり、ピペッティングの精度と正確さに大きな悪影響を及ぼすことになります。これに対する解決策は、マグネットアシスト機能です。この機能により、親指は最初の停止位置、つまり吸引がゼロの状態の位置をしっかり判別できます。吸引/吐出とブローアウト操作時に手と親指にかかる力を削減でき、さらに精度や再現性を損なうことがありません。その他にも軽量設計、フィンガーフック、エルゴノミックハンドルなどレイニンのPipet-Lite XLSシリーズは、人間工学的な設計を豊富に備えています。

電動ピペット

電動ピペットE4 XLSシリーズのシングルチャネルピペットとマルチチャンネルピペットは、ワークフローを簡素化し、反復性疲労障害の防止に貢献します。ピペッティングで一番力がかかるチップの取り外しは、手動ピペットと同様にLTS によって簡素化されます。電動ピペットの利点は、反復的なピペッティング作業を簡素化する点にあります。

大量サンプルの反復的なピペッティング

大量のサンプルを伴う反復的なピペッティング作業には、人間工学的な課題が顕著に表れます。最適なピペットを選択することで、作業ステップ数を大幅に削減でき、さらにピペッティングの効率も向上できます。そして、痛みのない作業が実現します。

  • 電動ピペットの連続分注機能は、1回の吸引で10回以上の吐出が可能です。また、半自動的にサンプルシリーズを処理できるように事前設定できる電動ピペットもあります。マルチチャンネルピペットは、さらに8倍、12倍の規模でピペッティングを簡素化・高速化します。
  • 96ウェルプレートをベースにした生化学的検査に対応する、96ウェルプラットフォームのピペッティングシステムもあります。
  • 可能な限り、大量のサンプルを処理される用途では電動ピペットを使用されることをお勧めします。
  • ここでも重要となるのは、常に人間工学的なピペットとピペッティングシステムを使用することです。

作業環境と作業時の姿勢

ピペッティングの人間工学的側面を向上させるには、作業時の姿勢も重要な要素になります。良い姿勢で重要なことは、脊椎の自然な S 字カーブを保つことです。身体は真っすぐに直立させ、肩は両耳のラインと平行に低く保つようにしてください。

立っているときは、踵から腰のラインが一直線になるように、腰は少し前傾気味にします。作業台が正しい高さになるように注意して座ると、不自然で窮屈な姿勢や圧迫を防ぐことができます。肘はできる限り上体に近づけて保ち、作業に必要な物は手の届く範囲に置いてください。前腕と手は一直線になるように置き、手首は長期間、ねじったり曲げたりしないようにします。身体的な疲労を防ぐため、個人の作業スケジュールを交代で行ったり、作業環境でよく行われる動きのパターンを変えることなどもお勧めします。作業開始から20~30分後に定期的な休憩を取ってリラックスし、酷使した脳を回復させたり、肩、腕、手をストレッチしましょう。ストレッチや筋トレは毎日のスケジュールに常に設定し、定期的に行うことをお勧めします。作業スケジュールに異なるタイプのタスクを組み合わせることも良いでしょう。

 

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